地域自治体と市民活動 (岩渕 徹郎 氏)

2007年4月28日 事業シーズ交換会 第2回

(自己紹介)
 岩渕と申します。私は行き当たりばったりできました。生き物が好き、人間が好き、女性も好き、だけど家内からは嫌われています。生き物といってもペットの犬とか猫とかでなく、私の場合は虫とか鳥や魚です。何が好きかこれが大事です。人間やすべての生き物、その子供が特に好きなんです。雪融けの川でぴかぴか光る小鮒やトミヨ、どじょうの子等をとった子供の頃を思い出します。私は昨年からカヌー(カヤック)を始めました。実は明日、鬼怒川へ行って6キロ下ります。ライン下りのコースをです。
(私が定年の時)
講演する岩渕氏 私が何をやっているかというと1999年、丁度私が60歳のときです。老後に何をやろうかと考え、あちこち興味に任せて勉強していて、すぐには入らなかったんですが早稲田カルチェラタンというのを知り、そこで鶴、雁、鴨等の渡り鳥を見に行くのに何度もついていきました。鳥は何千キロも渡ってきますが、生まれる場所、越冬する所、渡りの途中立ち寄って体力を増強する場所等々の環境が大事です。私は今、魚の回遊ということに興味を持っています。魚は、「よく戻ってきたな、えらいぞ」と思うんですね。渓流魚の岩魚や山女の仲間、鮭科の魚やうなぎもそうですね。日本うなぎははるばるグアム島付近まで、長旅をして一斉に卵を産むそうです。北緯14度、東経143度辺りに産卵に適した場所があるというのです。産まれた柳葉状の浮遊物(レプトセファルス)が、海流によって日本の河口に、稚魚となって運がよければ、川をさかのぼってきます。
(東京都消費生活総合センター)
 それから、東京都消費生活センターの講座を受講したんですね。2000年から2002年ですが、定年退職になったときにとりあえず何かしなければいけないということで、ステップアップ講座というのを受けました。今まで企業の立場でしたが、今度は消費者の立場でというわけです。企業って、時に随分悪いこともし、隠してますよね。この年表にいつどういうことが起きたかということを書きたかったのですが、時間が不足して省略しました。その卒業生のグループが10人くらいで、組織を作って毎月勉強会を開いています。そういう人達は、0から勉強する私とは違って20年も30年も各地域でやってきている。そういう人が多いわけです。消費者団体は主婦連等の団体に端を発してその流れの人達もいます。ですから、目黒区でこうしてきたとか、府中市でこうだとか聞いたり、自分が勉強したことを発表したり、それから私は誘われて「練馬区消費生活運営連絡会」という団体に入りまして、2005年で、最近のことです。この「プリズム」という広報紙、これは練馬区と共同で作っている、消費者啓発のための情報誌です。この6ページに我々の団体は何をやっているかが書いてありますが、消費者問題全般を分かりやすく解説し、意識の高い生活者になるように「消費者教室」などの講座を開く、それから商品のテスト実験、それからなぜか料理教室、これはやはり食の安全をめざしています。これらは完全なボランティアです。行政の一端を手伝いましょうということです。この裏のページにはどんなことをやろうかと私が企画したものもあります。「干潟の自然を守ろう」というのは、これは「行徳野鳥観察舎」という施設ですが、千葉県の三番瀬干潟に近いところにあります。汽水や淡水の湿地にシギ、チドリ、サギ、鷹等を見に、また怪我や病気の鳥を治療している病院を見学しに、そういうところへ小学生を連れて行った。あと、成年後見制度を講師の先生を見つけて、映画と講演会を開きました。
(エコロジーへの関心)
 それから3番目エコロジーへの関心があります。これは、国・官僚に対する不信というものもあるんですが、カヌーで下るとそこら中、ダムとか堰がコンクリートの無粋な構造物が行く手を阻んでしまいます。八ッ場ダムをストップさせるための住民監査請求に参加しましたが、門前払いです。監査委員は行政とぐるでした。最近造るダムで役に立つダムってあるんでしょうか。九州のほうになんていいましたっけ、諫早の堰だとか長良川の河口堰とかそこで水が必要だとか、洪水を防ぐとかあるいは農地を増やすなんていろいろ理由はありますけど、その目的通りになったのはほとんどないんですよ。八ッ場ダムは群馬県の吾妻川(川原湯温泉等を水没させ)に4600億円という巨額の工事をするわけですが、水が足りなくなるとか、洪水になるとかいいますが、今水が足りなくない。森林が育ったので戦後丸裸の山から大洪水か出ましたが、今は森林が天然の最良のダムになっていますね。このため、首都圏一都五県でそれぞれの知事さんを被告に無駄金支出をストップさせるため住民訴訟をやっております。東京地裁で13回民事裁判を傍聴し、関連する活動をしております。国土交通省というのはやりたいんですね。やらないと結局自分の仕事がなくなってしまい、利権もなくなってしまう。住民の意見を、改正された河川法では聞かなければいけないことになっているんですが、住民の意見を聞くと必ず反対があり中止勧告されてしまうので、住民の意見は聞きたくない。代わりに公聴会と称するものを開いて話を聞き置くという。うやむやにしたいのです。「八ッ場明日の会」というのは60年間も、この問題で苦しんだ現地の人々と受益者(?)たる下流の我々と交流を密にして、よい解決策を探そうという会です。国連環境大使である歌手の加藤登紀子さんと、カヌーイストで作家の野田知佑さん等がリードされています。ダム予定地の川原湯温泉で加藤さんと一緒に5月12日に集会があり私も参加します。云々で、そういう地域活動、市民活動、全くお金にならないないことに精力を注いでいます。
(マンション管理人の仕事から見る21世紀の環境問題)
 61歳になったときにマンションの管理人になって、もう8年目になるんですが、これは結構面白い。マンションが出すごみの量というのはすごいもので、孫世代の地球環境を考えるとじっとしておられませんね。危険な化学物質が蔓延し、インターガバメンタル・パネル・オン・クライメイト・チェンジ(IPCC)、今3歳から8歳の孫が4人居ますが地球の温暖化に伴う気候の変動、これに伴う災害の多発、食料・飲料水不足、感染症の流行などが2020年にはどうなるか2050年にはどうなるか、2080年にはどうなるが、孫の成長とともに影響が比例して増大するのでは爺々婆々は死にきれません。何も自分の孫だけかわいいと言ってはいません。どこの子も、世界中の子供の命を守りたい気持ちはご先祖様からしっかり受けつないでおります。
 20世紀は平均気温が0.6度上昇したんですが、ハリケーン、旱魃、洪水、海面上昇による国土の水没の危機等かあり、特に世紀末に目立ってますね。21世紀には2度ないし4度上昇するかもしれない。そうなるとどうなるか、これは皆さんお分かりですね。これはしっかりやらなきゃいけない。利に執着する事業、これの裏返しの活動が必要でしょう。癒着、談合、既得権、縦割り、己ばかり利する態度。こういったものに対してちょっと風を入れようじゃないか、こういう風に思っているわけです。ありがとうございました。

Copyright © 2006-2007 特定非営利活動法人『団塊のノーブレス・オブリージュ』

事務局   〒162-0045 東京都新宿区馬場下町9-8技研早稲田ビル5階
早稲田大学提携パソコンスクール PCビレッジ内  電話 & Fax 03-3207-0700  E-Mail:info@dankai.jp