レイチェル・カーソンと自然教育  (レイチェル・カーソン日本協会理事 田和恭介氏)

2007年4月28日 事業シーズ交換会 第2回
〔第二の人生への転換〕
レイチェル・カーソンと自然教育  (レイチェル・カーソン日本協会理事 田和恭介氏)
 今年は「2007年問題」の年、大量の団塊の世代が定年を迎えます。
 濡れ落ち葉や粗大ごみにならないように、第二の人生で何かやることを決めなければなりません。
 ところがそれがなかなか難しい、よく「子どもの頃なにになりたかったかを思い出せ」といわれますが、これは本当です。
 私は自然好き、子どもの頃はトンボやチョウを追廻し、シートンの動物記、ファーブルの昆虫記などを愛読していた。
 もっとも社会人になってからは、自然とはとんとご無沙汰でしたが。この自然好きに会社で業務として関わっていた「環境問題」が加わって、現在私の第二の人生の「やること」が決まっていきました。
 なにをやるにしても、いささかの努力は必要でしょう。わたしは自然関係の団体に加入すること、資格をとることに的を絞りました。
 日本自然保護協会自然観察指導員、森林インストラクター、レイチェル・カーソン日本協会入会、それに社会人学習サークル早稲田カルチェラタン入会など会社勤めの最後の時期は、これにけっこう時間をさきました。
 
〔レイチェル・カーソンのこと〕
 皆さんご承知のとおり、レイチェル・カーソンといえば、「沈黙の春」、しかしもう一つ彼女の重要な著作があります。
 彼女の死後出版されたエッセイ「センス・オブ・ワンダー」です。
 「“知る”ことは“感じる”ことの半分も重要ではない。」、
 「その感じること--センス・オブ・ワンダーを子どもと一緒に身につけよう。鳥の名前など知らなくてもかまわない、子どもと一緒に驚きの声を上げるだけでよい。」
 「事実を鵜呑みにさせるよりも、むしろ子どもが知りたがるような道を切りひらいてやることのほうがどんなに大切であるか分かりません。」
           (「センス・オブ・ワンダー」 上遠恵子 新潮社一部意訳) 
 この本の中には、子ども自然観察会などで役に立つ言葉が多く発見されます。
 この本が自然観察会あるいは幼児教育の優れたテキストであると考える所以です。
 私の観察会も、単に植物や昆虫の名前だけを追いかけるいわゆる「名前当て観察会」でなく、自然の不思議さを体験できる観察会にしようと心がけております。
 植物と動物あるいは動物と動物との関わりつまり自然を全体として見ると、自然の不思議さに触れることができ、大きな感動を体験できます。
 花の蜜を吸った昆虫が植物の受粉を助ける、鳥が木の実を食べ、種を遠くへ運んで植物の繁殖を助ける。
 自然の仕組みの中には不思議さと感動が溢れています。
 レイチェル・カーソン日本協会
「第二の人生の果実」
 以上、カーソンの言葉をキーワードに自然観察会をやってきて、私にどんなメリットがあったかというと仲間が増えたということです。
 資格をとって会に入会すると必ず仲間ができます、人との繋がりができます。
 会社人間が会社を辞めて会社の人脈が切れた後、これはとても大事なことなのです。
 人間は一人では生きていけないということなのでしょう。
 第二の人生でなにをやるかも大切ですが、誰とやるかはそれ以上に大切なことだと感じています。
 先日、文京区のある会で、ボランティア活動で成果を挙げている人たちの話を聞く機会がありました。
 その人たちが異口同音に言ったことは、ボランティア活動あるいは地域活動成功のポイントは「良い人間関係」ということでした。
 利益追求を最優先する企業では人間関係は二の次になる。
 だから人事権とか業務命令という強制が行われるが、地域社会活動ではまったく通用しないということです。 
 
 いままでの第二の人生でできた良い人間関係は、これからも大切にしていきたいと思っております。
 
 

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