理事長 年頭のご挨拶と団塊世代による地域パートナーシップセンター
                       (桜井理事長)

2007年1月13日 事業シーズ交換会

年頭のご挨拶
 みなさん、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。今日は初めての取り組みなんですが、今、開田さんのほうからご紹介がありましたようにNPO法人「団塊のノーブレスオブリージュ」の事業として、『事業シーズ交換会』を開かせていただきます。皆さんが日頃あたためている事業やプランを発表して頂き、あとで新年会がありますので、それらの話を酒の肴にして盛り上がりたいと思いますので一つよろしくお願いいたします。
 皮切りで恐縮なんですが、私から今年の抱負と、団塊世代の世直しというか社会貢献というかあるいは社会への恩返しといいますか、その辺の取組みなどについて話をさせて頂きます。
  
【定年後も“元気な団塊”キャンペーン事業】
 一つは、“団塊世代が定年後の人生の第二ステージも積極的に社会と関わって生きていこう”というキャンペーン事業を展開したいと思います。団塊世代の皆さんのお話をお聴きしますと、学校と会社生活の2つをあわせて40〜50年という時間がありますが、会社と学校生活以外の、例えば地域社会で子供やお年寄りがどんな生活をしているのかとか、あるいは公共の場ですとか、そういったとこにほとんどかかわりをもってこなかった。定年退職をいざ迎えたときにですね、自分にどういう受け皿があるのかとか、あるいはどういう拠点に自分が足元をおけばいいのかとか、とまどっている方がずいぶんいらっしゃるわけですね。全国の団塊世代の皆さんがヒントを得る機会として、今ここでやっているような集まりや催しを日本のどこででもできるようにしたいと思っております。
 
【団塊夫婦によるデュエット曲をヒットさせよう ! 】
 それから2番目は、これは少し笑っちゃうんですけど、団塊カップル(夫婦)によるデュエット曲をプロモートしたら面白いのでは、と考えています。団塊のサラリーマンは、これまで仕事一筋にやってこれたのも奥さんに支えられてきたからだと実感されていると思うんです。しかし、私もそうなんですが、家内には面と向かって“ありがとう”とは照れ臭さもあって中々言えない。それなら夫婦二人で歌うデュエット曲を作って、曲の中で奥さんへの感謝の言葉を言えば、自然に表現できるのではないでしょうか。そんな、団塊夫婦で歌えるデュエット曲を作詞してみましたので、ホームページで優秀な作曲者を募集して、ヒットさせていければいいなと考えています。
 
【オン・オフのネットワーク事業】
 次はネットワーク事業についてです。まず、オンラインではホームページの充実です。今、当NPOのホームページに大変アクセスが増えてきております。去年の11月12月に始めたネットディベートなども、なかなかあんな会話、会社じゃできない。また会社以外で自分達のまわりを見渡しても、あんな会話ができる仲間が私たちのまわりにいない。ネットディベートから何が見えるかというと、定年後、団塊世代の皆さんが真っ白なキャンバスに自分の新たな人生を描いていく上で参考になるし、勇気をもらえる。ホームページを充実させて、こうした期待に応えて行きたいと思います
 それからオフラインの活動では、今日の“事業シーズ交換会”のようにフェーストゥフェースで集まって頂ける、このような催しを増やしたいと思います。団塊の世代はネット社会のような顔の見えない会にはストンと落ちない部分がありますので、現在このNPOで行っている自主ゼミの運営や、自主ゼミを発展させて講座やセミナーを作ったりだとか、オフラインで交流を深めて行けるような仕組みを提供して行きたいと思います。たまたまここは早稲田大学がある場所なのですが、今年は早稲田大学が創立125周年を迎えます。私は『早稲田大学創立125周年を祝福する実行委員会』の実行委員長を務めているのですが、この大学街と卒業生などを交えて人的交流が活発に行えるよう、大学にお願いしていこうと体制を組んでおります。それと結びつけながら、大学だけでなく商店街も交えて、団塊世代が早稲田の学生街で交流できる仕掛け作りをしてまいりたいと思います。
 
【団塊世代による社会貢献事業】
 それから社会貢献事業ということで、『団塊世代による地域パートナーシップ運営システム』も、早稲田の街を実験拠点として皆さんのお力を借りながらやって行きたいと考えています。もし新しい展開ができて、この取り組みは面白いぞ、ということでいろいろな地域で応用していけば、新しい日本の地域つくりにつながっていくんじゃないかと。そうした見極めがつけば、皆さんのホームタウンでもそれを実践していけたらいいなと考えております。
 最後におととし・去年と早稲田大学オープンカレッジでやっております「団塊のノーブレスオブリージュ講座」の第3弾を企画しております。
 
【ぬくもりのあるコミュニティの復活】
 私が子どもの頃、早稲田の街には地域におっかないおじさんやおせっかいなおばさんがいました。銭湯で、アツイもんで水をじゃーじゃー入れていますと、後ろから水をぶっかけられて「この小僧 ! このお湯を沸かすには大変なんだ。水でうめるんじゃねえ ! 」なんて怒られたりしました。そのおっかないおじさんが、翌日は飴玉をくれたりですとか、また地域にはやたらおせっかいなおばさんがいて、子供達の面倒をみてくれたとか。団塊の世代はそういった地域の方々のお世話になって育てられてきました。今の時代にはそういう地域のコミュニティというのが壊れちゃって、昔のような“ぬくもり”のある社会から離れつつあります。それを定年などを機に、団塊の世代が、昔と同じようにという形じゃなくて、新しい時代に合わせた形でですね、“おせっかいおじさん”“おせっかいおばさん”になって、人間味溢れたぬくもりのある地域社会を復活させていく取り組みをしていきたいなと。
 
 
【団塊世代による地域パートナーシップ・センター運営システム】
その1【団塊・地域情報センター】
 団塊世代による地域社会での社会貢献事業として、具体的には3つの取り組みを考えております、一つは『団塊・地域情報センター』です。私は地元(早稲田)でずっと暮らしておりましたので、会社勤めの方と違って自分の子供が小学校・中学校の時は学校のPTAの会長などもやりました。また早稲田大学の周辺に7つの商店会があり、早稲田大学周辺商店連合会という団体を組織しています。私はその事務局長も務めています。地域活動やイベント活動などにもかかわってきたりして気付くのですが、意外と小学校とか商店会とか町会とかが同じ地域にありながらみんな縦で分かれてしまって、地域的につながっていない部分があります。例えば、全国各地の小学校で子供が誘拐されたりしていますけれども、小学校で父兄の皆さんの協力を得て、あるいは地域のみなさんの協力を得て防犯活動をやろうとしても、小学校が呼び掛けられるのはせいぜい児童のお父さんお母さんぐらいなんですね。でもお父さんが呼び掛けられても、仕事があるし、朝・夕のパトロールに参加できる人というのは限られるわけですね、夕方、子供達が3時・4時に下校するといっても時間がとれない。そういうときに定年を迎えたり、ゆとりのできた団塊世代の人たちに声を掛け、協力を求めるわけです。犬の散歩のついでに、地域のパトロールにタスキをかけながらやるぐらいだったら協力してもいいよだとか、呼び掛けがあればいくらでも集まる人がいると思うんです。けれど地域の組織が縦になっているからなかなか繋がらない。それには地域の情報を一元化し、地域の住民が情報を共有することです。ITに強い団塊世代がインターネットで現代版“地域電子カワラ版”を運営して、小学校や商店会や町会などの地域情報の共有化を図れば、地域社会の利便性が相当高まるのではないでしょうか。
 
その2【団塊・地域交流センター】
 二番目は団塊世代が運営する地域交流センターです。例えば戦争体験を次の世代に引き継ぎたいというお年寄りがいたとします。しかし地域の子供達にそのような体験話を引き継ぎたいと思っても、お年寄りと子ども達を結ぶお世話役がいませんとコトが進みません。会社で30年・40年仕事をしてきた団塊世代ならチラシや案内文を書くのも、こういう会で司会するのもお手の物でしょう。会場を探してきたりだとか、戦争体験のあるお年寄りを探したり、小学校に行って戦争体験話を聞く会をしましょう、と交渉したりとか。また、七夕のときに団塊世代の女性が地域の女の子にユカタの着方を教えたり、若いお母さん達の子育てを支援したりとか。そういうコーディネート役を団塊世代が地域社会ですることによって、老若男女の方々がみんな地域の中で顔見知りになりながらコミュニケーションをはかる、あるいは人から人へ伝えていかなければならない“伝統や文化”を伝えていける。ギスギスしている今の社会を“ぬくもり”のあるコミュニティへと復活させる意味でも、団塊の世代が、自分達が子供時代にお世話になったことを思い出し、おせっかいおじさん・おせっかいおばさんになって新しい形で地域の中で縁結びの役を果たす。そんなことも団塊の世代が本気で取り組んでいけばできるんじゃないかと思っております。
その3【団塊・地域キャリアセンター】
 3番目は『団塊世代による地域キャリアセンター』の運営です。団塊の世代は豊富なビジネス・キャリアをもっています、団塊の世代の方がエクセルやワードを格安の講師料で、地域のこういった施設(パソコンスクールPCビレッジ)を利用して地域で教える。地域には、子育てが一段落して社会参加をしたいと考えるお母さん方や、中々まともな職につけないニートやフリーターの若い人がいます。そういうビジネス経験の少ない方々に、ビジネス・プレゼンテーションの仕方だとか、ビジネスマナーとか、営業の心得とか、ビジネスの基本を教える。団塊の世代のいろんなビジネス・ノウハウを若い人たちに伝えてもらう。これはもちろん実費でやります。いわば現代版“仕事の寺子屋”です。こうした、経験豊富な団塊世代による地域キャリアセンターの運営なども、これから期待されるのではないでしょうか。
 
【団塊おじさん・団塊おばさんによる“団塊おせっかい運動”の展開】
 “おせっかい”は“無関心”と対比するもので、優しさや善意を持って人と接する心の表現でもあります。豊かになった日本が見失ったもの、それは人への気遣いや思いやりの心です。そのぬくもりを知っている団塊世代が、ようやく自分の自由になる時間を持てるようになりました。大勢の団塊世代が“おせっかいおじさん”“おせっかいおばさん”になり、地域社会で他の世代の人々と顔の見えるお付き合いを復活させれば、日本の社会は失いかけていたものの尊さに気付き、ギスギスした社会から優しさと包容力のあるコミュニティに立ち直るきっかけになるはずです。
 こうして、団塊世代が地域社会の中で新しい形で“おせっかい”をすることで、“地域力”も高まり、また“コミュニティの再生”にも一役買えるのではないでしょうか。
 
 以上年頭に当り、私の抱負を語らせていただきました。ありがとうございました。
==>講演資料(PDF) 

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