団塊世代が大学の街でいったい何が出来るだろう?

全国の商店街がシヤッターを降ろし、生活の場がゴーストタウン化している。30年ほど前、学生の街でも深刻な問題に直面していた。商店街が寂れていく現実を、地域ぐるみでどう打破していこうとしたか?

地域のネットワーク創りには、パートナーシップ精神で!

団塊世代が学生時代を過ごした1970年代ころまでは、地方出身者が大学近辺の下宿に住まい、乏しい仕送りのなかで、レバニラ定食をかきこみ、授業をさぼっては雀荘にたむろし、食堂は部活の連絡基地の役割を果たしていた。学生たちの生活の場として、商店街は活況を呈していたのだった。
「高い教育費や都会の塾の高度な受験テクなどが、地方の優秀な学生を遠ざけてゆき、この街に暮らす学生がどんどん減っていったのです」
それでなくても、夏休み、春と冬の休みで年間5ヶ月は閑古鳥が鳴く宿命を抱えている街である。コンビニの出現やテイクアウト弁当などのライフスタイルの変化、大型小売業(スーパーマーケットなど)の台頭が追い討ちをかけていく。



2007年秋、早稲田大学は創立125周年の記念行事に湧いたが、創立100周年にあたる25年前の1982年には、大学周辺に分散していた7つの商店街(480店舗)が統合され、「早稲田大学周辺商店連合会」が設立されるという出来事があった。
早稲田大学と窓口をひとつにして、歩調をあわせて一緒に街づくりを推進するための地固めだった。
数年後には、7割だった地方出身者は、ついに逆転し3割まで落ち込むという、迫り来る危機感が、利害を越えて人々を結束へと向かわせたのだ。

分散する商店会をまとめるには困難があったが、そのとき学んだことをいくつか列記してみよう。
  • 地域社会には、商店会のほかに町内会、神社、学校のPTA、老人会などのさまざまな組織や団体がある。その世話役たるリーダーもまた、いろんなタイプの人たちがおられ、いくつかの役職を兼任をしていることを知っておく。
  • 地域のなかに敵を作らない。
    ことに相手のプライドやメンツを傷つけると、そのマイナスの影響はずっと尾を引く。皆それなりの力のある人であり、地域から逃げられないことを肝に銘じておく。
  • 信頼できる仲間を増やしていく。
    最低限の根回しと、できれば複数の人と行動する。たとえ賛同者でなくても、足を引っ張らず、影で応援してくれる人がたくさんあることも必要。
  • リーダーには謙虚さが求められる。
    地域では年功序列だけでなく、社会の構成員としてどの立場にあるか、の視点もはずせない。出るクイは打たれ、嫉妬に晒されるのは常だ。

地域の人間関係にきちんと配慮したうえで、対等な立場でパートナーシップを発揮できれば、素晴らしいアイデアやプランへの賛同者を増やし、やがては地域の問題を解く合いカギを共有できるだろう。

「これからの時代は、パートナーシップという精神が重要になってくる。これまで別個と思われた団体とパートナーシップで協働し、ネットワークを拡げていけば、個別では解決できなかったことが可能になる。そうして、新たな扉を開いていきたい」


団塊世代が大学の街でいったい何が出来るだろう?
  1. その前に「地域猫」のはなし
  2. 「地域のネットワーク創りには、パートナーシップ精神で!」
  3. 事態を打破するために「社会人に開かれたアメリカの大学を視察して廻る」
  4. 「パリのカルチェラタンのような、大人の文化がある学園の街へ」
  5. これからNPO(非営利団体)として「より広く社会性のあるテーマへどう進化していくか?」

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